高卒生採用を検討する企業のみなさまに知ってほしい4つの事実

(↑上図1) 令和3年9月末現在の高校新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定率の推移

引用元:厚生労働省HP, 令和4年3月高校・中学新卒者のハローワーク求人における求人・求職・就職内定状況を公表します(9月末) 第7表, 令和3年11月12日,
(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00029.html)

厚生労働省は令和4年3月に高校を卒業する学生について、求人・求職・就職内定状況をとりまとめ、公表しました(図1を参照)。
求職者数は、全国約13万8千人で、前年10月比9.2%減少、栃木県内では3,143人と前年10月比6.2%減少しました。厚労省の分析によると、「昨年に続き、コロナの影響で大学、専門学校への進学や公務員への就職への進路変更が増えている」と考えられています。
また、ここ数十年間における、求職者減少の傾向は、昭和から平成に元号が変わる時期からはじまり、求職者は5分の1程度まで減少しました。

一方で、過去10年をみると、求人数は増加傾向にあり、求人倍率の全国平均は2.0倍以上と、学生が就職に有利な売り手市場であるといえます。
企業の皆さんは学生を取り合っているのが現状です。しかし、高卒生の採用活動はハローワークに求人申込をする、という方法を取り、学校や高校生に直接アプローチすることができません。
そのため、採用活動において仕掛けられることが少なく、受動的になる企業が多くあります。求人票を送りっぱなしという企業もよく見受けます。

そこで、本コラムでは高校の先生、高卒生採用を行っている企業の人事担当者、就職活動の主役である高校生の意見を交えながら、
高卒生の就職活動をひも解いてみました。特に高卒生採用に関心がなかった方にとっては新しい発見があると思います。

1. その① 高卒採用の独自―ルール1人1社と2次募集―

初めに、高校生の就職活動と、企業の採用活動を見てみましょう。すでに高校生の採用を行っている企業の皆さんは、この章は飛ばしていただいて構いません。はじめに下図で、高校生、企業、ハローワークの就職活動、採用活動における年間スケジュールを確認します。

6月1日 ハローワークによる求人申込書の受付開始
7月1日 企業による高校への求人申し込み及び高校訪問開始
9月5日 高校から企業へ高校生の応募書類提出開始
9月16日 企業による選考・面接開始及び採用内定開始
(↑上図2) 高校生と企業の就職活動、採用活動の年間スケジュール

 

基本的に採用試験の応募は1人あたり1社です。高卒採用は合否連絡を試験、
面接から1週間以内に行うよう推奨されています。9月下旬から合否が分かります。
ではその一方で、「1社」から「お祈り」の連絡が来た生徒はどうなるのでしょうか。

(↑上図3) 高校生と企業の就職活動、採用活動の流れ


厚労省発表の令和3年10月時点での内定率は64.2%(下図4を参照)ですから、9月以降も一部企業で採用選考は進められていることが分かります。
第1希望の企業の内定が叶わなかった高校生は、就職希望であれば、9月末頃から就職活動を継続します。これは企業側も同様で、1次募集の合格者が求人数に満たない場合などは、再度の求人票送付、高校訪問を行います。これを2次募集といいます。
2次募集を終え、11月末で90%弱、1月末に約95%、3月末(卒業時点)に約99%の就職内定率になるのが近く9年の傾向です。
10月時点での内定率は、平成を経て、最も低いときの2倍弱の数字まで上昇傾向にあります。
1次募集で多くの学生を取る企業が増加しており、早い時期に希望の学生を確保できる企業が増えている、とも読み取ることができます。

(↑上図4)高校新卒者のハローワーク求人に係る就職内定率の推移

引用元:厚生労働省, 令和4年3月高校・中学新卒者のハローワーク求人における求人・求職・就職内定状況を公表します
(9月末) 第8表, 令和3年11月12日,(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00029.html)

2. その② 高卒就職者の離職は多いのか

皆さんは、新卒の学生の離職率についてどう考えますか?高いのか低いのか、考えたことはありますか?
Google検索で「高卒(スペース)離職率」と検索すると、検索結果の数は約884,000件でした。
では、「高卒(スペース)離職率(スペース)高い」と「高卒(スペース)離職率(スペース)低い」で調べてみると、前者は約948,000件、後者は約323,000件という結果でした。
単純な検索結果だけでは比較できませんが、離職率は低さよりも高さについて書かれる、言及されるケースが3倍近くある事実が分かりました。

「高卒(スペース)離職率」・・・・・・・・・・・・・・・・・・約884,000件
「高卒(スペース)離職率(スペース)高い」・・・・・・・・・・約948,000件
「高卒(スペース)離職率(スペース)低い」・・・・・・・・・・約323,000件
(↑)Googleによる、高校新卒生の離職率に対するイメージの検索件数

では、「離職率は高い」と言い切っていいのでしょうか。また、「高い」と捉える人は、何と比較して「高い」と感じるのでしょうか。
離職率は一般的に3年を基準とし、これは新卒扱いが、学校卒業から3年以内であることなどに関係するといわれます。
高校卒の従業員の離職率は40%弱であり、減少傾向にあります。また、ここ10年間は、1年目離職率は平成中期と比較して10ポイントほど低いことが読み取れます(下図5を参照)。
視点を変えて事業所の規模別にみると、事業所規模が小さければ小さいほど(従業員の人数が少なければ少ないほど)離職率が大きくなることが分かっています(下図6を参照)。

(↑上図5)学歴別就職後3年以内離職率の推移

引用元:厚生労働省, 新規学卒者の離職状況 新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移, (https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000845627.pdf)




(↑上図6)新規高卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率の推移
引用元:厚生労働省, 新規学卒者の離職状況 新規学卒者の事業所規模別・産業別離職率状況, (https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000845110.pdf)

 また、日本独自の新卒一括採用という制度が、離職率を高いと捉える要因のひとつとなっているでしょう。簡単にいうと、欧米諸国は進路決定が早く、大学卒業の難易度が高く、就職の際には即戦力として何かしらの能力を求められます。在学中に就職活動を行うことはなく、卒業後にも学生とは違う形でスキルを磨き、能力や技術を習得したうえで就職します。

転職についても同様です。海外では、スキルアップのために職場を変えることは当然なので、転職回数を気にする、という概念がありません。反対に日本は終身雇用の考えが根付いており、同じ会社に長く勤めることを美徳とします。

 以上のことを踏まえると、離職率、とくに早期での離職率は減少傾向にあり、「離職率が高い」という問題があるとしたら、徐々に改善されているといえます。
離職率について言及しているホームページをみると、「大学卒とくらべて高い」とか、離職率40%という数字だけをみて筆者の主観で高いと前提して書かれている記事がほとんどです。
さらに離職率は業界や業種によっても変わるため、一概にして「離職率が高い」ということは間違いではないでしょうか。「高い」か「低い」かは、各会社がどう判断するかによって変わります。

3.その③ 「高卒採用のカギは学校と両親にあり」を体感する

このコラムは、高校卒生の採用活動における学生へのアプローチ方法を説くことが目的ですが、前2章では、あえて高校生採用の基本情報について前置きしました。
この理由は、筆者が企業を訪問し、人事・採用担当者の話を聞く中で、高校新卒生が就労することへの偏った見方や、ネット記事の表面からの情報を信じこんでいる人が多かったためです。
「高校生はすぐに辞めてしまうから採らない」、「求人票をハローワークに送っておけば応募があるから大丈夫」。こんな言葉を何度も聞いてきました。
高卒生採用の基本情報と離職について書きましたが、離職率を理由に採用を足踏みしてきた企業さんに向けて、「高卒生採用に悲観的になる必要は一つもない」ということを理解いただきたいです。

ここからは、高卒生の採用活動における訴求ポイントについて触れておきます。
第1章でふれた通り、高校生は学校にある求人票をもとに、企業を決めます。基本的に1人1社制なので、さまざまな企業に採用応募し、比較するといったことはできません。
また、学業と並行し、しかも短期間で就職活動を行うため、どうしても親や家族、学校の先生からの進言によって企業を選ぶというのが実情です。

下に示したのは、弊社が栃木県内の高校生を対象にしたアンケート(母数n=737人)の結果です。
「就職に関して何か活動をしているか(回答数n=688人)」という質問に対して、「はい」が54人、「いいえ」が634人、「進路に関する相談相手(回答数n=737人複数回答可)」として「親、家族」が554人、「学校の先生」が203人、次いで友達、先輩という結果が出ています。
アンケートの配布は高校2年生の11月と高校3年生の5月に実施しています。受動的な就職活動が短期間で行われている実態が読み取れます。
日本の学校教育の現状では、高校卒の学生の就職活動は、両親と先生による進言の力が強いことが分かります。この2者に訴求することが採用への近道です。

問:就職に関して何か活動をしているか(回答数n=688人)・・・はい:54人 いいえ:634人
問:進路に関する相談相手(回答数不明)・・・・・・・・・・・・・親、家族:554人 学校の先生:203人 
(↑) 栃木県内の高校生にきいた進路、就職に関する弊社独自アンケート

4.その④ 高校訪問をしようー高校の先生は企業のココを見ているー

高校卒の学生の採用活動において、その両親や学校の先生の影響力が大きいことは事実のようです。
学生に親に直接訴求することは、個人的なコネクションなどがない限り現実的ではありません。
そうなると、残るは先生、高校訪問です。高校訪問の時期についての考え方はさまざまで、求人票を送る前から訪問し、就職活動解禁後にも訪問する、足を使った戦略もあれば、学校と長い付き合いを持つ企業などは1度の訪問、もしくは訪問はしない企業もあります。
下に、高校教諭に向けて進路指導について問いたアンケートや、筆者の営業活動で直接聞いた生の声を示しました。

■学校訪問について
・生徒の就職先の決定は担任や保護者の影響が大きい。担任が企業を知らなければ(わかりやすく仕事内容を説明できなければ)生徒に勧めることができない。
・まずは学校見学でも構わないので、気軽に学校訪問してほしい。

■訪問時期
・企業は学校行事を把握した上で積極的に学校訪問してほしい(高校総体中の対応は困難)。 
・県外企業のように複数回の学校訪問や早い時期に訪問し、自社PRをすべきである。

補完資料
・立派なパンフレットは必要ないので、求人票だけでは知りえない、先輩社員の働いている姿の様子や仕事内容がわかる資料がほしい。

■魅力発信
県外企業と競うとなると、賃金面は厳しいので、違った魅力を発信する必要があるのではないか。例えば「勤続○○年で△△のような職務に就くケースが多い」、「結果を重視する企業なので、勤続年数に関係なく実力でのし上がることができる」といった情報。

■生徒へのPR
・企業説明会への参加やインターンシップの受け入れ、職場見学などに協力してほしい(担任や生徒、保護者に自社PRできる)。
・放課後を利用した個別企業説明会などを開催し、積極的に生徒にアピールしたらどうか。
・女子生徒は販売(特にアパレル)やサービス関係の希望者が多く、自宅からの通勤範囲にそのような企業が少ないため、どうしても県外就職してしまう。生徒に自社PRを行い、職種転換等で県内に就職できないか。

■研修制度
・県内には、新人育成のカリキュラムが確立している企業が少ない。
・研修期間が数日程度しかないため、仕事に戸惑ってしまい早期離職に繋がっている。一人前になるまで丁寧に指導してほしい。
 学校の先生は、多くの企業による訪問に受け入れ態勢であるようです。
また、求人票だけ、追加しても企業向けともとれる内容の会社パンフレットを持参しただけでは、学校の先生ですら理解できない、という声もよく聞きます。
素人目でみても理解しやすく、何か爪痕や印象を残す必要があります。

5.高校訪問しても学生が集まらない企業の皆さんへ

高卒生採用の現状からはじまり、離職数の新たな視点をご覧になったことで、高卒生の採用も悪くない、と思ったのではないでしょうか。
ここまでの話が理解できた方や、もしくは過去に高卒生の採用を諦めてきた方は、
「じゃあどうやったら先生と生徒に理解されるんだ!」、「親が子供に勧めたくなるような企業情報ってなんなの?」と考えますよね。
自社の魅力をどう伝えるか、という問題に突き当たるはずです。
ヒントは「普通の魅力も、幾つか掛け合わせることで他の会社にない魅力になる」ということです。
以前書いたコラムに具体的な提案をまとめているので、少しでも興味を持った方はご覧になってみてください。

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この記事を書いた人:庄司 理
栃木県内の高校生を主とする学生向けの、地元企業紹介メディア”COURSE”の企画・営業を担当。
COURSEの取組みは今年で5年目。若いうちに「働くとはどういうことか」、「社会に出てどう生き抜くか」を考えるきっかけを提供。
栃木県内ほとんどの高校と、200を超える企業を訪問。

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