目次
1.はじめに
高卒採用に取り組む企業の方から、
「高校生に自社の魅力がうまく伝わらない」
「若手社員が何を大切にしているのか分からない」
「入社後、長く働いてもらうためには何が必要なのか」
といった声を聞くことがあります。
今の高校生は、企業名や給与、休日といった条件だけで就職先を判断しているわけではありません。
「どのような人と働くのか」
「自分にもできそうな仕事か」
「困ったときに相談できるか」
「地域や社会にどのように役立っている会社か」
など、働く姿を具体的にイメージできる情報も重視しています。
本記事では、栃木県の高卒採用を取り巻く状況を踏まえながら、高校生や若手人材に企業の魅力を伝えるためのポイントを紹介します。
2.栃木県では、高校生から「選ばれるための発信」が重要に
栃木県の高卒採用は、企業側の採用意欲が高い状態にあります。
栃木労働局によると、2026年3月卒業予定の高校生について、2025年9月末時点の求人倍率は3.06倍でした。求職者2,717人に対し、求人数はその約3倍に上り、求人倍率と就職内定率はいずれも、比較可能な期間の中で過去最高となっています。
求人が多いことは高校生にとって選択肢が広がる一方、企業にとっては、求人票を出すだけでは自社を知ってもらいにくい状況であるともいえます。
特に栃木県では、製造業、建設業、運輸業、福祉、サービス業など、地域の暮らしや産業を支える企業が数多くあります。しかし、高校生が日常生活の中で企業の仕事内容を詳しく知る機会は、決して多くありません。
企業側には、募集条件を示すだけでなく、仕事の内容や職場の雰囲気、働く人の姿を分かりやすく伝えることが求められています。
3.高校生と企業の間に生まれやすい「情報のギャップ」
企業にとって当たり前のことでも、高校生には伝わっていない場合があります。
例えば、企業側が「若手が活躍できる会社です」と伝えても、高校生が知りたいのは、より具体的な情報です。
●入社後は誰が仕事を教えてくれるのか
●最初にどのような仕事を担当するのか
●若手社員はどのように成長しているのか
●職場ではどのような人が働いているのか
●自分の仕事が地域や社会にどう役立つのか
高校生の多くは、社会人として働いた経験がありません。そのため、専門用語や抽象的な表現だけでは、実際に働く姿を想像しにくいのです。
「やる気のある人を求めています」だけで終わらせず、「入社後半年ほどは先輩社員と一緒に仕事を覚えます」など、働き始めた後の姿が見える説明を加えることが大切です。
4.今の高校生が仕事選びで大切にする4つのこと
高校生の価値観は一人ひとり異なりますが、企業理解を深めるうえで重視されやすいポイントがあります。
①安心して働き始められること
高校を卒業して就職することは、生活環境や人間関係が大きく変化する出来事です。 仕事内容だけでなく、
「未経験でも覚えられるか」
「分からないことを質問できるか」
「相談できる先輩や上司がいるか」
という安心感が、企業選びに影響します。
特別な制度がなくても、研修の流れや指導担当者、日頃の声かけなどを具体的に紹介することで、高校生の不安を和らげることができます。
②仕事の意味が分かること
高校生に仕事内容を伝える際は、「何をする仕事か」だけでなく、「その仕事が誰の役に立っているのか」まで伝えることが重要です。
例えば製造業であれば、製品名だけでなく、
「自動車の安全を支える部品をつくっている」
「地域の食品を全国へ届けるための設備をつくっている」
など、仕事の先にいる人や社会とのつながりを示します。
自分の仕事の意味が分かると、働くことへの納得感や誇りを持ちやすくなります。
③実際に働く人の姿が見えること
高校生にとって、年齢の近い若手社員の存在は、入社後をイメージする大きな手掛かりになります。
会社の代表者や採用担当者からの説明に加えて、
●若手社員が入社を決めた理由
●入社前に不安だったこと
●最初に覚えた仕事
●仕事をしていてうれしかった経験
●休日や休憩時間の過ごし方
などを紹介すると、職場の様子が伝わりやすくなります。
きれいな言葉だけを並べるのではなく、実際の経験を本人の言葉で紹介することが、企業への信頼につながります。
④自分らしく続けられそうなこと
高校生は、仕事内容だけでなく、職場の人間関係や働き方も含めて「自分に合う会社か」を考えています。
すべての企業が同じ制度を整える必要はありません。大切なのは、自社の職場について正確に伝えることです。
「黙々と作業に集中する時間が多い」
「チームで声を掛け合って進める」
「地域のお客様と接する機会が多い」
など、職場の特徴を具体的に示すことで、自社に合う高校生との出会いにつながります。
5.企業が見直したい4つの情報発信
高校生との接点をつくるために、まずは次の4点を見直してみましょう。
①専門用語を高校生にも分かる表現にする
業界内では一般的な言葉でも、高校生には仕事内容が伝わらないことがあります。 仕事内容を説明するときは、「誰に」「何を」「どのように提供している会社なのか」を、身近な言葉に置き換えることが有効です
②写真だけでなく、その場面の説明を添える
工場や設備、オフィスの写真を掲載するだけでは、何をしている場面なのか分からない場合があります。 「入社1年目の社員が先輩と検査作業をしている様子」など、短い説明を添えることで、写真から得られる情報が増えます。
③入社後の成長過程を伝える
高校生は、入社時点で仕事ができることを求められるのではないかと不安を感じることがあります。 入社後の研修、担当する仕事の変化、資格取得の支援、先輩との関わりなどを順番に示すと、成長の道筋が見えやすくなります。
④一方的な説明ではなく、知ってもらう接点を増やす
企業の魅力は、求人票やホームページだけですべて伝えられるものではありません。
企業紹介冊子、合同企業説明会、職場見学、学校との情報交換など、複数の接点を通じて繰り返し知ってもらうことが重要です。
栃木県でも、県内企業の若手人材確保や地域就職を促進するため、就職支援や企業とのマッチングに関する取り組みが進められています。
6.まとめ
求人が多い現在の高卒採用では、企業が高校生を選ぶだけでなく、高校生から企業が選ばれる視点が欠かせません。
高校生が知りたいのは、会社の規模や制度だけではなく、
●どのような仕事をするのか
●誰と働くのか
●どのように仕事を覚えるのか
●その仕事が何につながっているのか
●安心して相談できる環境があるのか
といった、働く姿を具体的に想像できる情報です。
今の高校生の価値観を知ることは、若者に一方的に合わせることではありません。自社の仕事や職場の魅力を整理し、分かりやすく伝え直す機会でもあります。
弊社の運営する高校生向け企業紹介冊子「COURSE」や体験型合同企業説明会「COURSE EXPO」では、求人票だけでは伝わりにくい企業の仕事、働く人、地域とのつながりを高校生へ届けています。
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